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次世代パワー半導体SiC基板の革新的プロセス技術を開発!~脱炭素社会の実現に挑む

2021.3.2

#学部学科

村田治学長と金子忠昭理工学部教授が会見

関西学院大学は3月1日、次世代パワー半導体材料SiC(シリコンカーバイド)基板内の「欠陥」を無害化する、非接触型の表面ナノ制御プロセス技術「Dynamic AGE-ing®」について、記者会見をオンラインで開き、発表しました。豊田通商株式会社と共同で開発に取り組んでいるもので、発表会には合計22社24人が参加。村田治・学長(関西学院副理事長)と金子忠昭・理工学部教授が、この技術の革新性と、社会実装に向けた豊田通商とのオープンイノベーションに関する取り組みについて説明しました。

「パワー半導体」とは、電力や電源の制御・供給を行う半導体の総称で、あらゆる電子機器に使われています。現在、その基板の大半はSi(シリコン)が母材となっていますが、今後は、「SiCパワー半導体」の需要が大きく広がると見込まれています。SiCは、Siと比較して、電力ロスを大幅に低減でき、電力利用の効率化および冷却装置の小型化を可能にします。この特性を活かして、電気自動車(EV・HV・FCV)や鉄道、産業機器、電力などグリーンイノベーションが進む分野でSiC基板の実用化が始まっており、今後、脱炭素社会の実現に向けて、その波及効果が極めて大きいと期待されています。

金子教授の研究室は、最新の装置や独自開発した装置を駆使することで、これまで多くの研究成果を生み出してきました。金子教授が進める「グリーンモビリティ材料開発プロジェクト」は2005年より大学の重点支援プロジェクトとして展開し、2017年からは「関西学院アカデミックリレーションズ」の第1号プロジェクトとして理事会より指定され、現在に至っています。

金子研究室の最大の強みは、学生自身が高い水準で“モノを創る力”と“モノを視る力”を同時に所有している点にあります。今回開発した「Dynamic AGE-ing®」も、学生個々人の主体的な関わりによって回る素早いPDCAや、原理に紐づいた最適なプロセス条件を短期間で導き出す体制によって生まれました。この技術は、メーカーやサイズを問わずSiC基板を高品質化できることや、SiC基板の生産性向上を可能にする点で注目されると予想されます。今後は、豊田通商と半導体デバイスメーカーへのサンプル供給を開始し、量産ラインへの本技術の導入に向けた評価検証を進め、普及が見込まれる大口径8インチSiC基板への適用に向けた開発も加速させます。

会見で、金子教授は「SiC関連の技術開発を学生たちと共に20年間続けてきました。豊田通商の持つ企業ネットワークを活用し、ユーザー企業およびメーカーが広く参画できるオープンイノベーションにより技術開発とその実用化を推進したい」と強調。また、村田学長は「神戸三田キャンパスでは“Sustainable Energy”を重点テーマに設定しており、今回発表した革新的プロセス技術を社会実装へと繋げていきたい」と強い決意を述べました。

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