
国連ユースボランティアで
オンラインサミットを
企画運営。
総合政策学部 国際政策学科 4年生
※取材当時
鹿子生 由依 さん
私は3年生の9月から5ヵ月間、国連ユースボランティア(UNYV)でタイのUNDP BRH (国連開発計画)バンコク地域事務所に派遣されました。配属先はユースチームで、若者がファシリテーターとなってSDGsの様々なトピックで開催する「Movers」というプログラムを主に担当。私自身もファシリテーターを務め、アジア太平洋地域のいろいろな国の若者たちとSDGsを国レベル・地域レベルで達成するための解決策について意見を交わし、たくさんの刺激を受けました。12月には、それまでの学びや経験の集大成となるオンラインサミットを企画・提案。これが採用され、実際の運営にもプロジェクトリーダーとして携わり、結果、アジア太平洋地域の若者300人以上が集う大型イベントとして成功を収め、最高の達成感を得ました。

価値観や習慣の異なるメンバーとの協働は簡単ではありませんでしたが、UNDPの職員の方々の協力も得て、オンラインサミットは大成功。「帰国して感じたのは、日本の若者と国連との繋がりとの薄さ。日本の若者たちの意識を高め、世界中の若者と一緒にアクションを起こせるよう、その橋渡しの役割も果たしていきたいです」
国際協力という夢への
「最初の一歩」をためらっていた私。
勇気をくれたのは、国際機関での
経験を持つ先生の言葉だった。
国際協力に関心があり、UNYVというプログラムにも強い魅力を感じて関学を志望した私ですが、入学したばかりの頃は周囲の学生のレベルの高さに驚き、「UNYVの選考に合格するなんて、私には無理かも」と自信を失いかけていました。一方で「国際機関やJICAとは異なるユニークなアプローチで、世界の課題に対してソリューションを生み出していける」という観点からソーシャルビジネスに関心を抱くようになり、アントレプレナー育成プログラムを受講したり、ソーシャルビジネスの企業でインターンをするなど、ビジネスというツールで社会課題に立ち向かうことの可能性を学びました。
しかし、自分自身が納得するアクションを起こすことができておらず、ずっとモヤモヤした気持ちを抱えていました。そんな時、UNYVへの挑戦を促してくれたのは恩師の村田俊一先生でした。「できるかできないかで悩むのではなく、まず挑戦してみなさい。目標に向かって直向きに努力する生徒を、私は応援する。」と、国際機関での実務経験を持つ先生に背中を押していただき、挑戦することを決意しました。必須スキルである英語力の向上に努め、そうした努力が実り、派遣先機関との面接を経て、第一志望であるタイのUNDP BRHに受け入れていただくことが決まったのです。
毎年派遣先は異なるのですが、今年は、サモア・ナミビア・タイの3カ国でした。DoAという仕事内容が記載されている用紙を見て、タイの「Youth Civic Engagement Assistant」という役職に一瞬で惹きつけられました。若者のSDGsへのアクションや若手社会起業家をサポートするポジションです。国際機関にも社会起業にも関心のあった私は、「絶対にここだ!」と思いました。仕事内容について知れば知るほど、ワクワクが止まらなかったのを、今でも覚えています。自分の実力と向き合い続けなければいけない辛い準備期間も、派遣先での活動を常にイメージしてモチベーションを維持し、努力し続けることができました。
UNVYでの経験を糧に、
全ての若者が社会課題を
自分ごとと捉え、
アクションを起こせる世界に。
私がUNDP BRHで取り組んだのは、アジア太平洋地域の若者たちの起業家精神の促進・SDGsの啓発。若者の人口割合が増加している一方で、失業率の高さやそれに伴う貧困問題は地域共通の課題。セルフエンプロイメントという側面でも起業というアプローチの可能性は非常に大きいです。私は、Moversというプログラムを通して、1人でも多くの若者の背中を押すべく、ゼロからワークショップを企画・運営しました。当初は、企画しても参加者が1人もいないなど、苦戦し、私はここにいていいのだろうかと葛藤する日々を送っていました。
そんなとき、Moversのワークショップを通して、この課題のために、社会のために、国のために、何か行動を起こしたいと強い思いを持つ様々な国の若者と出会いました。このような国を超えた繋がりを活かし、団結することで、若者中心のソーシャルインパクトを起こすことができると考えました。
オンラインサミットでは、そうした若者たちと国連職員とのディスカッションの機会が生み出せたことに、大きな手応えを感じています。また、参加者が自国でも後日ワークショップを開催したり、このイベントで出会ったパネリスト同士でのコラボが実現したりと、いくつもの「次のアクション」が湧き起こったのがとても嬉しく、このイベントを開催した意義だと考えています。「いろんな国の若者と協力してSDGs達成に貢献するためのアクションを起こす」という幼い頃から夢見ていた光景を自分の力で実現することができた感覚でした。4日間のサミットを駆け抜けた後、上司や同僚から「由依は沢山の若者をエンパワーメントし、私たちにも刺激を与えてくれた。」という言葉をいただき、達成感で涙がとまりませんでした。将来も国際機関で、若者たちが国籍関係なく協力し合い、社会をよくするための行動を起こせるような世界を築いていきたい。この目標に向かって、UNYVを通して感じたこと、学んだこと、全ての経験を糧にして、まずは社会起業家として、様々な社会課題に挑戦していきたいと思います。