新しいモビリティサービス
実現技術を研究し、
国際会議で受賞。
大学院 理工学研究科 情報科学専攻 修士課程2年生
※取材当時
上村 知 さん
大学院の研究室で、最適化アルゴリズムの研究に取り組んでいます。さまざまな現実の課題を対象としていますが、その一つに大阪府豊中市の実証事業への協力のなかで行った、新しいモビリティサービスの提案とその実現のための基盤技術の研究を行っています。少子高齢化と労働力不足が深刻化している地域の新たなモビリティサービスとして、相互扶助で運用するオンデマンドバスと地域防犯パトロールを組み合わせたシステムを提案すると同時に、このサービスの実現可能性を左右する、走行ルートなどのスケジュールを決定するアルゴリズムを設計し、実データに基づいて有効性を評価しました。さらにこの研究成果から論文を執筆し、国際会議『INCoS-2024』で発表し、『Best Paper Award』を受賞しました。
国際会議『INCoS-2024』が開催された韓国の順天郷大学校で運営スタッフを務めていたモンゴル人学生と親しくなり、撮影してもらった受賞記念写真。「ふとしたきっかけで話して、お互いインターナショナルスクール出身という共通点もあって話が弾み、楽しかったです。今もSNSでコメントしてもらえるくらい仲良くなれました」。
身近にある問題の多くは、
日本の優れた技術をうまく関連づける
ことで解決できる。そこに自らの
「やるべきこと」を見出した。
大学3年生の演習の授業で巳波研究室とIBM社との共同研究に参加させてもらい、「社会に寄り添った研究やプロジェクトが多そう」と感じて、4年生から巳波研究室に入りました。最初に取り組んだのが、豊中市の実証実験における新しいモビリティサービス。実はそれまで私はデータサイエンスを中心に学んできて、最適化アルゴリズムについては、講義で学んだ程度の知識しかありませんでしたが、理論はたいへん奥深く、数学的にも難しいものなので、研究レベルのことができるまでになるのは本当にたいへんでしたね。また、自分の研究にオリジナリティがあることを示すために、既存の研究や他国・他地域の事例を大量に調べましたが、これにも苦労しました。しかし、国際会議で研究成果を高く評価してもらえたことには、とてもうれしく思います。
今年3月の学会では、深刻化する人手不足などの物流業界の問題解決のため宅配ロッカーを効果的に活用するシステムの提案と、その運用スケジュール・配送スケジュールを決定する最適化アルゴリズムを設計・評価した成果についての研究発表を行い、優秀発表賞を受賞しました。このような研究テーマに取り組んできたのは「理論だけでなく、実際に社会に役立つ研究がしたい」という想いがあるからです。日本の技術はすごいのに、その技術をうまく活用できず、困っていることがたくさんあります。そうした「実際の技術」と「人々の生活」とのギャップを埋める力になりたい、と考えて、最適化アルゴリズムの研究に励んでいます。
得意の語学力を発揮して
広く世界の人々から知見を得ながら
「解決できるのにできていない問題」
への最適解を探る。
私はもともと英語がネイティブで、日本語は第二言語。小学生の時に中国に住んでいた経験から中国語も話せ、大学4年生からは語学アプリを使ってスペイン語も勉強しています。帰国子女も多く、さまざまな言語が飛び交うのが自然な環境であった関西学院千里国際高等部から進学する際、語学を専門に学ぶ道も選択肢の一つでしたが、私は「語学というツールを活かしつつ他の専門分野を」と考え、得意な情報科学の勉強をしようと情報科学科へ。国際会議では、英語の論文を書く時に、自信を持っていたライティングの力を発揮でき、文章力・説得力も重要な評価項目の一つである『Best Paper Award』の受賞にも繋がりましたが、まさに語学というツールを活かせたと感じました。
関学には留学生も多く、世界のいろんな人たちと日常的に交流できるのがいいですね。中国語やスペイン語も使って楽しくおしゃべりしながら、行ったことのない国での生活や社会問題についても知ることができ、学べることが多いです。私の研究対象は必要性がイメージしやすくわかりやすいものなので、友だちに話して「それ便利だね」「面白いね」といった反応がもらえるのも楽しく、そうしたなかで文化や価値観が違えば問題意識の持ち方も変わる、といった認識も得ています。世界にも多くの問題があって、解決できるにも関わらず放っておかれたまま困っている人がたくさんいます。解決不可能なら「しょうがない」で片付くかもしれません。でも「しょうがないとあきらめることはない、こうすれば解決しますよ」と提案できる人になっていきたいと思います。