川本 真妃さん

韓国の学生と共作した
建築設計課題で1位に。

建築学部 建築学科 3年生
※取材当時

川本 真妃 さん

8月から2月にかけて実施された学部独自の留学プログラム「建築学国際プログラム」で、韓国の学生との共同制作に挑戦しました。夏に韓国へ行き、そのとき初めて会った建国大学の学生とペアを組むことからスタート。お互い片言の英語でコミュニケーションを取りながら「どんな作品にしようか?」と、一緒に建築設計課題に取り組みました。韓国での一週間でイメージを固めて、その後はオンラインでやり取りしつつ少しずつ制作を進め、2月には日本で再会し二人で作品を仕上げてプレゼンテーションを実施。その結果、参加した12組の中で1位に選ばれたのが私たちのペア。将来、国際的な建築プロジェクトでの活躍をめざすうえでも、大きな自信と手応えとなる経験ができました。

川本さんと建国大学のPark Gyeryeongさんの共同作品『Meta Fold』。審査を担当した先生からも「個人だけのスキルでの作品ではなく、日本と韓国の違う経験や言葉を乗り越え、話し合い、理解し合い、ひとつの作品として表現したことが一番素晴らしいところ」と、今回の国際プログラムの成果に大きな手応えを感じたようです。

韓国人学生と私、
それぞれの専門分野や得意なことを
うまくマッチさせながら
取り組むことで面白い作品ができた。

課題は、人気ショップが多いソウル市内の注目エリア「聖水(ソンス)」に建てる建築物の設計。韓国での初日、ペアになった韓国人学生と私は、まず課題の敷地を見るために現場へ向かい、その時はまだお互いにぎこちない感じでした。翌日、具体的な設計のイメージについて考え始めてからは「こうしよう、ああしよう」と、二人とも積極的に話すようになっていました。私は構造設計を専門的に学んでいますが、彼女の専門はインテリアデザインです。「普通の建築デザインをしている人たちとは違う、私たちにしかできないような作品にしよう!」と意見を出し合い、行き着いたのが「折り紙」でした。「折っていくことで一枚の紙をどんどん複雑な形状にできるのが面白い」という私の構造設計からの視点と「薄い紙をイメージした素材を使うと様々な表現ができそう」という彼女のインテリアデザインからの視点がうまくマッチし、折り紙をモチーフとしたユニークなデザインを創り上げることができました。
また、彼女はCGなどPCを使った制作が得意で、私は模型作りが得意なので、「模型は私がメインで作るから、プレゼンボードはお願い!」と、作業の面でもお互いの得意なことを生かして、効率よく進められたのが良かったです。

日本とは異なる土地での建築設計に、
言語も文化も違う相手と協力して
取り組んだ経験を、
自らがめざす将来へと繋げてゆく。

今回のプログラムでは、荒木先生に鍛えてもらったモデリング技術など、これまでに学んだ知識を実践に生かせたのがうれしかったです。建国大学の学生はみんなPCの技術が高く、そこは刺激になりました。構造設計の仕事では解析やシミュレーションなどPCの活用が多いので、「私ももっと勉強しよう!」とモチベーションが上がりました。
韓国人の建築についての捉え方や韓国建築の流行などへの理解が深まり、「海外に向けて提案する時はこんな感じかな」といったイメージが少し見えるようになったのも大きな収穫です。今後も機会があれば留学して、いろいろな国で見識を深めたいですね。プロジェクトを進める中で、日本と韓国とでは建築関連の法規が異なることを知りました。将来、構造設計の専門家として国際的な仕事に携わるには、まだまだ学ぶべきことが多いと再認識することができました。
貴重な経験となり、何より、すごく楽しかったです。同じ建築を学ぶ海外の学生と仲良くなりプライベートな時間も一緒に過ごし親睦を深め、互いの力を合わせて創り上げた作品で1位になれたことも大きな達成感につながりました。「折り紙」という、今後も追究していきたい自分の構造設計のテーマも見つかりました。これからも、本当に楽しみです。

PROFILE

川本 真妃さん

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建築学部 建築学科 3年生
※取材当時

川本 真妃
(かわもとまき)

大阪府・天王寺高等学校出身。高校時代までは建築に特別な関心を抱いていなかったが、大学進学にあたって「数学など理系科目が得意で、コミュニケーション力にも自信がある。そんな自分に適した学部は?」といった考えから建築学部を選択。関西学院大学建築学部に入学後は、荒木美香准教授の構造デザインにおける研究や実務に感銘を受け、構造設計を中心に、建築学部での学びに強い熱意をもって励んでいる。また、1年生の時にはハンズオン・ラーニング・プログラムの『社会探究演習』を履修し、丹波篠山市今田地区でのインタビュー調査を通して「住んでいる人がその土地をいかに大切に考えているか」への理解を深めるなど、建築の仕事に将来携わるうえで欠かせない「施主の思いをくみ取る力」などの修得にも努めている。さらにさまざまなコンペやワークショップ、建築設計事務所でのインターンシップなど、積極的に学びの場を求め、自己研鑽に励む。そして3年生の8月から2月にかけて『建築学国際プログラム』に参加し、韓国・建国大学の学生であるPark Gyeryeongさんと共同で制作した建築課題作品『Meta Fold』で1位を獲得。審査を担当した教員は「空間構成としてのフォルムと構造の力学バランスがとれた大変良い作品」とコメントしている。4年生からは荒木准教授の『建築構造設計研究室』に配属。大学卒業後は大学院に進学してさらに学びを深め、将来は構造設計の専門家としてアトリエなどに勤務して経験を積み、いずれは独立して海外のプロジェクトへの参加など国際的な活躍ができる設計者となることが目標。休日についても、建築の本を読んだり、3Dモデリングソフトの勉強をしたりと、ほとんど建築から離れることのない毎日を過ごしているそう。

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