森林イベントで使う
「木のテント」を製作。

建築学部 建築学科

荒木美香研究室(後編)

高島市森林組合のイベント『Re-Woods 森とあそぶ一日』でブースとして使用する「木のテント」の設計・製作を任された、建築学部・荒木研究室の学生たち。これまで学んできた構造計算の知識も駆使し、デザイン性と確かな強度を両立させた設計図を完成させた後、次はテントの材料となる木材の加工をするため製材所へ。そして出来上がった木材をイベント会場に運び、いよいよ組み立て。初めての実製作で、思い通りにできないこともたくさんありましたが、大工さんの協力も得てようやく「木のテント」が完成。森林組合や来場者の方々からも好評で、学生たちも「何より、自分たちが作ったものを実際に使ってもらえたのがうれしい」と、確かな手応えを実感できました。

木組みでつくるテント
大径材でつくるテント

木組みでつくるテント●ボルトや金物を使わず、工具不要で組み立てられるのがポイント。接合部は簡単に部材が外れない仕組みにするなど、工夫を凝らしています。
大径材でつくるテント●育ちすぎて幹が太くなった「大径木」の活用法として提案。じゃばらに組んだアーチで、インパクトのあるデザインが会場でも注目されました。
(作図:建築学部 井上日南子さん)

Re-Woods 森とあそぶ一日

MESSAGE │ PROFILE

長谷川 大樹さん

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長谷川 大樹 さん

建築学部 建築学科 4年生 ※取材当時
兵庫県立明石北高校出身

材料の性質をふまえた
設計の必要性を、体験から学べた。

僕たちの班が考えたのは「木組みでつくるテント」。せっかくの機会だから新しいことに挑戦したいと思って、これまで授業でもあまり学んだことがなかった木組みという技術に着目しました。事前に木組みについて調べ、建築分野だけでなく家具の継手なども参考にして。モデリングや模型でのシミュレーションを経て、いよいよ実際の木材で組み立てるという段階になって「あれ?はまらないぞ!」という大ピンチに。木材は水分による膨張などを想定し、設計時にクリアランス(ゆとり幅)を設ける必要があるということを、この体験を通して学べました。ハンマーを使ったり、大工さんにその場でのこぎりで調整してもらったりで、なんとか組み立て完了。当日は飲食ブースに採用され、お店の人がこのテントを気に入ってくれただけでなく、垂れ幕などでかっこよく飾り付けをしてくれたのが、すごくうれしかったです。苦労もありましたが、木組みを使った設計には今後も挑戦したいですね。

大房 千夏さん

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大房 千夏 さん

建築学部 建築学科 4年生 ※取材当時
大阪府立三国丘高校出身

パソコン上ではわからない、
リアルな感覚の大切さを知った。

「大きい板を積み上げて、アーチ型にできたらすごいかも!」といった発想から、私たちの班は「大径材でつくるテント」を考案。ただ、最初は不安もありました。実際に人が中に入るのですから安全面での責任は絶対ですし、「自分たちに本当にできるの?」と。でも構造計算や3Dモデリング上で色々なパターンをシュミレーションし、製材と、工程を重ねるにつれて現実感も期待感も高まり、最後にはメンバー全員が納得できる精度が実現でき、満足しています。私たちのテントは受付ブースに使われました。このアーチはオリジナルの形で、構造の強さと美しさを両立することができたことに達成感を感じました。今回の体験で大きかったのは、パソコン上では気づけない、リアルな感覚が学べたこと。例えば木材に触れて初めて「こんなに大きくて重いのか」「これだけ分厚いと、運ぶのが大変だ」と感じました。今後もこうした感覚を養い、施工のしやすさなどをふまえた設計に反映させたいと思います。

荒木美香研究室

荒木 美香 准教授

建築学部 建築学科

荒木 美香 准教授
(あらき みか)

子どもの頃から幾何学が好きで、多面体の折り紙を作ったり、一人あやとりの逆再生をしたりしていたという。建築のことに関心を持ったのはテレビで見た阪神淡路大震災。建物や高速道路などの被害を見て、建築に対して漠然と興味をもつようになったという。さらに高校1年生の時、図書館で「建築学がわかる」という本を読み、建築の道を志す。大学院ではこの本の著者から指導を受けた。大学院終了後は構造設計事務所に所属。その事務所の代表が大学で講義を持ったことをきっかけに、大学院の学術支援専門職員、特任研究員なども務める。2020年に独立し、荒木美香構造設計事務所設立。2021年4月より建築学部建築学科准教授。

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