森林イベントで使う
「木のテント」を製作。

建築学部 建築学科

荒木美香研究室(前編)

2024年10月に開催された滋賀県の高島市森林組合のイベント『Re-Woods 森とあそぶ一日』に、建築学部・荒木美香准教授の研究室の学生たちが参加しました。森の中でのワークショップや体験会を通して、来場者にサスティナブルな素材である「木」に親しんでもらうイベントで、学生たちが携わったのは、イベント当日にブースとして用いる「木のテント」の設計から実製作まで。授業で模型作りには何度も取り組んできましたが、実際に使われる1分の1スケールの「建物」を自分たちの手で作り上げるという初めての体験に、学生たちはワクワク。まずは3人ずつのチームに分かれ、それぞれ個性的なテントのアイデアを出し合うところからスタートしました。(後編に続く)。

折りたたみテント
端材でつくるエコなテント

折りたたみテント●パタっと折りたためて組み立て簡単。たたむと平らになり、軽量で運搬や収納も楽々。シンプルでも倒れないよう、構造の工夫にも力が注がれています。
端材でつくるエコなテント●製材所で余った切れ端の部分を、捨てずに有効活用するアイデアとして提案。四方が開けて開放的なため、休憩スペースに採用されました。
(作図:建築学部 井上日南子さん)

Re-Woods 森とあそぶ一日

MESSAGE │ PROFILE

松田 穂乃佳さん

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松田 穂乃佳 さん

建築学部 建築学科 4年生 ※取材当時
大阪府立大手前高校出身

チームで取り組むなかで
「伝える」ことの重要性を実感。

テントと言えば簡単に建てられることがポイントだと思って、私たちの班では「折りたたみテント」を考案。「軽量かつ絶対に崩れない」を意識し、メンバー三人で協力して構造計算に取り組みました。夏休み中もオンライン会議を重ね、図面を送り合って設計を進めましたが、メンバー間での設計イメージの共有や意見のすり合わせは難しかったですね。出来上がった図面をもとに製材所で木材を加工する段階でも、立ち会ってくれた大工さんに「この図面では伝わらないよ」と指摘を受け、「正しく伝える」ための図面の知識の重要性を痛感。一人での模型作りとは違う、チームでの実製作だからこその学びがたくさんありました。木材の加工を終えた後には、製材所で試しにテントを建ててみたのですが、その瞬間は感動でした。大工さんがデザインをほめてくれ、イベント当日も来場者の方々から「すごい!」「本当に作ったの?」といったお声が聞けたのが、すごくうれしかったです。

小谷 駿斗さん

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小谷 駿斗 さん

建築学部 建築学科 4年生 ※取材当時
大阪教育大学附属池田高校出身

教室では学べない、
「施工する側の視点」への理解が深まった。

5月のフィールドワークで高島市森林組合を訪問し、製材の際に切り落とし部分や規格外の木材が多く、無駄が生じている、といった林業の課題を知りました。その解決に向け、僕たちは「端材でつくるエコなテント」を立案。強度とどんな形の端材も組み上げられるよう、設計に工夫を凝らしました。ただ部材が多くなり、組み立てが大変で…。設計段階から森林組合の方や大工さんにアドバイスをいただきながら改良を重ね、実際に組み立てる段階でも、想定していた手順にこだわらず、施工する人の視点で意見をもらい、その場で試行錯誤しながら組み立てました。自分たちだけでは気づけない、施工上の効率などをふまえた設計の考え方について学ぶいい機会になり、コスト面や構造面も考えて設計できるようになりました。一方で、森林組合の方々に「端材の有効活用案は組合としても非常に助かる」「デザインもいい」と評価していただけたことは自信になりました。

荒木美香研究室

荒木 美香 准教授

建築学部 建築学科

荒木 美香 准教授
(あらき みか)

子どもの頃から幾何学が好きで、多面体の折り紙を作ったり、一人あやとりの逆再生をしたりしていたという。建築のことに関心を持ったのはテレビで見た阪神淡路大震災。建物や高速道路などの被害を見て、建築に対して漠然と興味をもつようになったという。さらに高校1年生の時、図書館で「建築学がわかる」という本を読み、建築の道を志す。大学院ではこの本の著者から指導を受けた。大学院終了後は構造設計事務所に所属。その事務所の代表が大学で講義を持ったことをきっかけに、大学院の学術支援専門職員、特任研究員なども務める。2020年に独立し、荒木美香構造設計事務所設立。2021年4月より建築学部建築学科准教授。

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