グアテマラの貧困問題を
「オンライン教室」で解決。
総合政策学部 2008年3月卒業
特定非営利活動法人SPANISIMO JAPAN 代表理事
有村 拓朗 さん (写真右)
総合政策学部 2009年3月卒業
特定非営利活動法人SPANISIMO JAPAN 会長
吉川 恭平 さん (写真左)
20代半ば頃、私たちは一緒に世界を巡る旅をしていました。その道中、グアテマラでスペイン語を学んだ際、現地の講師たちに素晴らしい指導を受けたのですが、一方で彼らの不安定な生活に驚きました。観光客を主対象とした教室のため、オフシーズンには生徒が集まらず、ほぼ失業状態になるのです。私たちは考えました。「日本人向けのオンラインスペイン語教室を立ち上げれば、困っている彼らの助けになるのでは?」。そこから、私たちの挑戦が始まりました。経験も技術もなかった若い私たち二人が、持っているだけの人脈を生かしながら、手探りで課題を一つずつ乗り越え、スタートさせたスペイン語オンライン会話教室『スパニッシモ』は、今や10年目を迎えています。
「ビジネス」「観光」「教養」など、さまざまな目的に応じた質の高いスペイン語学習ができるオンラインサービスとして多くの支持を集めている『スパニッシモ』。受講生にとって格安のレッスン費を設定しながらも、レッスン時間の配分やシステムの工夫によって、グアテマラ人の講師たちがより高い収入を得られるようにしています。
日本を飛び出したその先で
「自分たちにやれること」を見つけた。
「将来は起業に挑戦したい」「世界の問題を解決する力になりたい」。大学時代からそんな想いを抱いていた私たち。何か行動を起こそうと、2011年、当時勤めていた会社を辞め、日本を飛び出しました。JICAや企業の支援を受け、途上国の現場を取材した動画をネット配信しながら進める旅のプロジェクトです。まずメキシコに渡り、南米をめざしました。「現地の人と交流したり文化を知ったりするにはスペイン語の習得が必須」と考え、3か国目のグアテマラでスペイン語を学んだのですが、そこで見たこと、感じたことが、私たちを突き動かしたのです。
観光客に依存していたグアテマラのスペイン語学校。だから観光客の少ないオフシーズンには生徒がおらず、講師の収入が安定しない。「この問題を解決したい」。オンライン教室というアイデアを自らの手で実現させるため、私たちは旅を中断し、当面はグアテマラに腰を据えようと決意しました。
想像もしなかった、旅の途中での「起業」。
そこから始まった挑戦は、今も続く。
やるとは決めたものの、実際に何から手をつければいいのか、わからない。とりあえずネットで調べて、結果を精査して、仮説を立て、行動して…。その繰り返しで、一つ一つ課題をクリアしていきました。苦労ばかりでしたが「お世話になったグアテマラの人たちに恩返しを」という想いもあったし、「挑戦している」という実感が楽しくもあった。そうしてどうにかサービスを立ち上げた翌日、日本のお客様からすぐに有料会員の申込みを受けた時は、めちゃくちゃうれしかったですね。
あれから9年。スタート時5名だったグアテマラ人講師は、今では約60名に。一番の目的であった、彼らの雇用機会と収入の増加、生活の安定にも貢献できています。利用している生徒さんからも、「通訳案内士の資格をとって通訳の仕事に就くことができました!」「留学前に現地の先生と本格的な練習ができて不安が消えました!」などの声を頂くことが増え、教える講師、習う生徒の両者の自己実現に寄与できていることが嬉しいです。今後も改善を重ね、最終的には組織自体がグアテマラの人たちの主導で運営できる、持続可能なモデルの確立をめざしたい。私たちの挑戦は、まだまだ終わりません。